「6ねん2くみ。すずむみいこ。」の時代

音楽は嫌い という人や、音楽に全く興味ない という人がいます。
全然それはそれでいいと思います。

音楽が好きだったり興味があっても、自分で作ったり演奏したりしようとはしない人がいます。
全然それもそれでいいと思います。
私もそうでした。

20代半ばくらいからなんちゃって感覚で手を染めはじめるのは
即席的な作曲。
ほとんど出鱈目な口笛をふくようなかんじでテキトーにメロディを口や鍵盤でならして、
それを録音機に録音してしまえばかんせーい。
出鱈目な口笛、ふけないよ、って人もいるでしょうが、
そのくらいならできるよ、って人も音楽やらない人にも多いかと思います。
只、ボタンを押して、もしくはクリックして、
記録媒体にふきこんでしまえばそれは作品になってしまえるし、
作曲したということになってしまえる。
つまり誰でも作曲はできえる、と言うことができるでしょう。
完成品 というイメージはその際じゃまになります。
なにかものを作ろうとする時に、そこが行動をおこすかおこさないかの分岐点として重要になります。

誰か歴史的な美術家、画家の展覧会に行ったとします。
おお、有名なあの大作の原画だー、やっぱりいいなー。。
とあなたは思います。
また、別のコーナーにある小さな絵にもあなたは惹かれます。
それはサササっと一筆書きされたような簡単なデッサンです。
なんだか見てて気持ちがいい。
対象の全ては書かれていない。
書いてる途中でやめちゃった?
もしくは省略しちゃった?
15秒くらいで書いたようなものかもしれない、そんな落書きのような1枚の線画。
しかしあなたは感動しました。
ひょっとしたらその前に見た有名なあの大作の原画の絵の感動よりも上回るくらい。
そう感じたのであればあなたにとってその未完成の落書きは素晴らしく価値のある立派な作品です。
完成度の高いものだけが芸術であるとは限らないのです。

音だってそうなんです。
落書きのような音の断片だけでもいいんです。
スケッチでもメモでも。
楽しいならそれをすべきなんです。
複雑なものは自分には作れないから、、
それでなにもしないというのは勿体ないんです。
作る以上はモーツアルトに匹敵しなければ、なんて考えたとしたら素敵で不敵ですが、
それが足枷になるなら無茶つまんないことだと思います。

私はそんなかんじで気楽に自分の音を採集しはじめて、
それをパッケージ化してそこそこ広く発売する機会に恵まれて以降も、
しばらくは人前で演奏する ということは、
絶対できない!
と思いこんでいました。
 →
SMPの初ライブは1999年の12/4でした(正確にはその前もあるけどないこととして)。
それは後にレーベルメイトになるスローリーミニットの千葉さんと、
Kazumasa Hashimotoさんと、takafumi ishikawaさんの3人がやっていたwhite paint recordingsというレーベルが
オーガナイズするイベントでのゲストライブとしてでした。
その時には『目の前にあったよ』や『s.m.p.E.P』や『カエルに会えてよかった』は発表済みでしたが、
アルバムに入ってる曲はライブで再現することなど全く考えていなかったし
、再現したいとも思わなかったし、思ったとしても無理でした。

その1年くらい前、当時私がやっていたオーディオ販売の仕事先で知り合った某オーディオメーカーの新卒社員の研修生、こくりょうたかゆき。
人懐っこいお調子者で、ウマがあったのかぼくらはすぐに仕事が終わっても向いのデニーズでいつもミニチョコサンデーを二つ注文し、
向い鏡前のカウンターで片寄せ合ってンマインマイと一緒に食べる仲になりました。
音楽の話はほとんどしなかったけどもどうやら家にドラムルームがあるらしく、
どんなドラム叩くん?と訊ねるといつも不敵な笑みをうかべて
「危険なドラムですよ*」
と言うに留まるばかりだったのに、きっといいドラム叩くんだろうなとなぜか確信していた。

こくりょう君の研修期間が終わるころに彼の家にDATレコーダーを持って遊びに行った。
噂のドラム室には立派なキーボードも設置してあったので
録音ボタンを押し、ちっちゃなへなちょこデジタルマイクでボクらの初セッションが録音された。
まともに音楽的なセッションをしたのは私はそれがはじめてだったのに、なんだかスパークしてしまい、その録音はとても気に入って、
後にそれは音を加えて、タイム的にノー編集のまま、
Childiscのコンピレーションアルバム第2弾『AO』に「ハップ・ハップ・ジャム」という曲、
そして、『スッパとクエスチョンナゾバンド』に「6ねん2くみ。すずみみいこ。」という曲として収録された。


(それがこの曲で、つい最近動画を付けてアップロードしました)

その初セッションの奇跡っぷりとこくりょう君のトークでの笑い飛ばしっぷりが好きだったこともあって、
初ライブはこくりょう君とのセッションにすれば恐くない、なんとかなるんじゃないか と思え、
私のインチキライブミュージシャンライフがスタート出来てしまった、、というわけなのでした。

ちなみにその初ライブは悲惨な結果になってしまったけど(「ア・ローチ・スクーピングダンス」でその一部が聴ける)、
その後もこくりょうたかゆきドラム、という定形基盤のもと、
毎回思いつきで誘ったいろんなミュージシャン達を加えたその場限りの名ライブ珍ライブを集めたアルバムが
2001年のスッパとクエスチョンナゾバンド名義の『スッパとクエスチョンナゾバンド』になっている訳です。
ライブ会場ではスッパマイクロパンチョップとして演奏してましたが、
私が他人とセッションするライブは勝手に後にクエスチョンナゾバンドというバンドだったこととされるのです(笑)

ちょっとナゾバンドのアルバム 聴きたくなってもらえましたか?(笑)
最近、スッパの録音物を販売すると、
アナログレコードばっかり売れて、もうすぐ完売のいきおいでありがたい限りなんですが、
エスチョンナゾバンド盤は現状スルーされ気味と見受けられます。
ひっそりとリリースされたアルバムで情報がないし、話題にもならなかったので。
しかし、スッパとクエスチョンナゾバンドのアルバムは、
今でも古びてません。
永久不滅盤....かもしれません。
運が味方しておれば『Trout Mask Replica』や『God+』『Philosophy of the World』のような歴史の刻み方も出来てたかもしれないような、、
そんな気がしなくもない今日この頃なのです。

では、
ナゾバンドのCDに結果的に参加してしまっているゴージャスなミュージシャン達を紹介します。

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・水越タカシ - 私.スッパマイクロパンチョップ  <でたらめスキャット、本気ボーカル(「カエルにあえてよかった」1曲だけ)、ピアノ(「こつぶ、やみをひかる」「ア・ローチ・スクーピングダンス」)、打楽器的へなちょこエレキギターシンセサイザー、ガムテープ、ピアニカ、サンプラー> 

・TAKA - こくりょうたかゆき.加藤吉樹のサポートも後にしてました.現在ドラムスクール講師(たぶん...) <ドラムス、車の運転>  

・DJ kumico - 現在改名してDJミステイク.ベースをはじめるのは5年後.現スッパバンド.PANICSMILE <おしゃべりスキャットターンテーブル、ダンス、ナイスファッション、ビールの妖精>

・ayaya - 女性タブラ奏者.現クラムボンmito氏の奥方 <タブラ、キーボード、ボンゴ>

・加藤吉樹 - 現在大阪でウード奏者として大活躍中 <ファンキーでキラキラしたエレクトリックギター>

・イトーヒデノブ - 世界的エレクトロニカアーティスト.現Elegantdisc代表 <バンド内電子音>

バッファロー - 大柴.A柴.元音音.現ミッシング箱庭 <トランペット、拡声器、火、煙、ギター、雄叫び> 毎度お騒がせのアングラスーパーロックヒーロー。彼がオーナーのオーラカンパニーというレーベルの2枚組コンピレーションCDにナゾバンドの未発表音源が収録されてます

・田崎まんざぶ - 山を愛する印刷屋さんでSSW田崎稔.元音音.時折スッパバンドにゲスト参加すること有り。 <ペケペケしたかっこいいエレクトリックギター>

・宮下ともたけ - TAKAの音楽仲間.加藤吉樹のサポートも後にしてました <エレクトリックベース> 「クロマニヨン」と「コークスクリューパンチ」は彼のベースラインが肝に

杉本卓也 - 三重在住の日本テクノオリジネーター.京都で1度だけ杉本さんと私のツインキーボード+TAKAドラムで演奏 <「やどりんぼ」のウッドベース(キーボードで)>

・三浦康嗣 - 口ロロ <キーボード。「チョンボレッジ」の最後の15秒の部分で聴けます> 伝説の高円寺20000V消防車事件の日はドラム担当

・根岸篤男 - drummatic. flyrec代表 <ノートPC。「チョンボレッジ」の最後の15秒の部分で聴けます>

・カツマタ - 天才ARCHE-TYPE <アナログシンセ。「チョンボレッジ」の最後の15秒の部分で聴けます> (私にとって現在消息不明.誰か知ってたら教えてください!)

・久保 - 元カニバリズムガンジーバンド.故人 <謎の楽器。「チョンボレッジ」の最後の15秒の部分で聴けます>

・徳久ウィリアム - 元倍音s.ノイズ合唱団 <ボイス、潜水服。「シャシャムニャムニャ」のライブに参加>

・尾引 浩志 - 元倍音s.NHK教育テレビでも活躍 <ハーモニカ、潜水服。「シャシャムニャムニャ」のライブに参加>

・青山雅明 - 元倍音s.現神響王(カムヒビKING)カムナガラレーベル代表 <親指ピアノ、潜水服,。シャシャムニャムニャ」のライブに参加>

PIANA - 女性エレクトロニカアーティスト <コーラス、眼鏡、白衣、包丁、まな板、人参。「シャシャムニャムニャ」のライブに参加>

・MIYA - 元架空 <「いったろまい」「こつぶ、やみをひかる」での印象派ギター、「シャシャムニャムニャ」での喋り声1>

・山元かっちゃん - 元架空.現在画家山元勝仁 <「シャシャムニャムニャ」での喋り声2、ジャケットの絵>

・さいみこうへい - 謎のDJ。「こつぶ、やみをひかる」でのDUB処理。(私にとって現在消息不明.誰か知ってたら教えてください!)

・リョウアライ - 世界的トラックメイカー <ミックス、エディット、マスターリング。「いったろまい」と「ア・ローチ・スクーピングダンス」の最後の音処理もアライ印>(アライお母様にはお昼ご飯を2度ごちそうになりました)

・中村公輔 - 音楽講師.録音エンジニア.ソロミュージシャンとしてはKangaroo Paw名義 <ミックス、エディット、マスターリング。なぜか最終的なマスターリングはポーさんとアライさんとスッパの3人で作業>

                      • -

参加面子多い!

盤には入ってないけど二階堂和美さんにダンサーになってもらったライブもありました。(本人はトランペットを持ってきてくれたんですが、リハーサル聴いて却下させてもらって可愛いダンスをしてもらいました)

他、マイアミとのヂュオや、二階堂さんとの声オンリーヂュオや、
京都大谷大学でのスッパ&スズメンバ本田未明&イルリメ鴨田&ヤベミルク&マイアミ&太田和成&オンパック の時のなど、
数えきれない位へんな構成のライブしましたが、
録音されていて、比較的ノイズのない音源からまとめたこの
『スッパとクエスチョンナゾバンド』。
要するに人前で演奏なんて滅相も無いと思っていた私の
他の人の力を借りたセッションライブの初期集大成盤です。
誰でも音楽はできる という一つの証明です。
10年以上経った今こそ、 世に問うてみたい気分。


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近所(都内)の方なら手渡しに行きます。

suppasuppaアットgmail.com