怪しく美しい佐野元春の世界

【MixcloudとYouTubeに"レコード水越による佐野元春 mixtape"を新しくアップしました 】▼
http://www.mixcloud.com/suppamicropamchopp/%E4%BD%90%E9%87%8E%E5%85%83%E6%98%A5-%E6%AC%B2%E6%9C%9B-mix/

佐野元春楽曲だけで編集したテープ繫ぎ感覚のミックス。罠がそこかしこにある43分間。佐野元春のファンもそうでない人でも新鮮に聴けるのでは。
私にとって佐野元春は、自分の高校時代の行動や興味の大半を方向付けていたラジオDJ兼ポップスターで、かなり思い入れがある人(『THE BARN』くらいから遠ざかり気味ではあるが)。
出会った時は『Café Bohemia』に収録されるシングルが連発された頃で、遡ってライブビデオ『Truth '80〜'84』『Visitors Tour '84〜'85』を見たり初期のアルバムを聴くに、ちょっといい時期は過ぎちゃったのかな、というモヤモヤ感を抱えつつも追いかけていた。尖ったアルバム『Visitors 』を作ってニューヨークから帰って来てから日本での風当たりなどの精神的ショックからか声変わりプラス、歌い方じたい感情を押さえた唱法に変化して、曲調もポップではあるけどどこか抜けきれないムードがしばらくつきまとった(ように私は感じていた)。
そこからまた”抜けたな”と感じられたのが92年の『Sweet16』で、このアルバムではそれまでチラ見せ程度だった怪しく美しいアレンジセンスが炸裂していた。

Sweet16

Sweet16

「また明日...」「君のせいじゃない」「エイジアンフラワーズ」「Mr.アウトサイド」「廃墟の街」等のふくよかでスリリングな楽曲は今でも色褪せない。先日の"でたらめ音楽教室課外授業・美しい不協和音の回"の時にも「また明日...」はキー曲として大きくとりあげた。
今回のミックスではそれらの、感覚をふっとすくいあげてくれるような要素のある曲と、歌詞とグルーヴとサウンドが今の自分にグッとくるような曲をサラッと特集したかんじ(入れる段階でほとんどはじめて意識した曲も含む...)。短めな方が沢山の人に聴かれやすいかと、曲を細切れに短縮編集したりブツっとチェンジしたりしてるから佐野曲に詳しい方が聴くと大胆かつ妙なミックスかもしれない。所謂名曲や思い入れの強い曲はもっと山ほどあるが、網羅して紹介する目的ではないのでこうなってます。