音の間

上手い演奏にグッとこない。というよりも、テクニカルに上手いような演奏にグッとこないのは、「間」を演奏するテクニックがない=下手 だからだと、主観からは申すことができる。強迫観念的に音を埋めたがる心持ちを上手くなだめ堪え扱えることから演奏の本当の上手さは始まっていくものなのだと思う。完全な素人でもその心得さえあれば気持ちいい音は出せるものだ。
オンガクという名の強迫観念を聴いてると息がつまる。鳴ってない方がずっといい。そんな音が多い。
音につけるあからさまな強弱や抑揚は、エンターテイメントにおける感情操作の技である。「さあ、こう感じなさい」という司令そのもの。司令に関係なく勝手なタイミングで感動を見つけたい輩にとってそれはシラケっちまう小賢しい演出だ。そして音楽の世界からおいてけぼりをくらう。
真のエンターティナーならば「盛り上げる」ということがどれだけ横暴なことか真剣に考えてみてもらいたいものである。エモさが販売特許なのは誠に罪な商売といえる。ミュージシャンというよしか役者と言った方が近かろう。鈍感でいなければ勤まらないのではないだろうか。