わたしはオルガン

わたしは人間です。でも新作アルバムのタイトルは『わたしはオルガン』に決めました。英語で言うならi am organ 。全く本物のオルガンは使ってないけどソフトシンセにしろリアルシンセにしろわたしが選ぶ(つくる)音色はオルガン的な味わいを模倣している気がするからで、メロディもオルゴール的な優しさ悲しさが際立っているアルバムであるから。細野晴臣さんのアルバムでいえば「銀河鉄道の夜」や「コインシデンタルミュージック」や「フィルハーモニー」に近い雰囲気です。もしくはムーンドッグの音楽のような。
曲目は、
1.オープニングナイト
2.皇帝グワシ
3.by pretending to be a model of birds circling in space no purpose
4.イカロスの帽子を弓矢がかする
5.レッツラダンス
6.真夏の夜の夢の不思議の国のオルガン
7.チュードア
8.考える硝子玉
9.扇風機
10.森へ
11.そっとすくいそっとおいた
12.ポルトガルブレイク
13.日陰の英雄
14.それとも?
15.もぐら
16.うかないヒロイン
17.2011
18.エマヌエル夫人
19.あくさくま・しー
20.きこえる
21.野生のオルガン
22.わたしは音楽
23.eye opening in the sea
の23曲を収録する予定です。
さて「わたしはオルガン」はどのようなアルバムだと説明したらいいでしょうか? 試しに説明してみます。
"家具の音楽"という言葉を知ってます。エリック・サティが提唱した「生活の中に溶け込む音楽」という思想・コンセプトによる音楽のことだったり、具体的な曲名だったりします。サティの「家具の音楽」という曲は、ブログを書いてる今はじめて聴いてますが、コンセプトとは裏腹に少し大袈裟な響きのある曲でした(笑)私はサティの音楽は多くの人と同様にあのジムノペティの曲しか知らないです。今また別のサティの曲を聴いてみてます。「Sports et Divertissements」。ピアノの短い小曲の連なりです。これは生活っぽいです。家具の音楽なかんじします。
わたしの音楽は家具っぽいかどうか。ライブの場での私しか知らない人にはそんなイメージはないでしょうね。でも、ソロの録音物の多くはけっこう家具です。「わたしはオルガン」は今までで一番家具の音楽です。まちがってもロックミュージックじゃあない。しかしNOロックNOライフな人のライフにも当然ながら家具は必要です。プライベートな静かな場所で静かに鳴っているにふさわしい自分に近しい音楽。なにがあってもじっと近くで見ていてくれている。
最高にきもちよく"ながら聴き"できる音のまとまりになりました。家計簿をつけながら。掃除する時。爪をきる時。歯をみがく時。新聞を読む時。味噌汁つくる時。皿を洗う時。洗濯物を干す時。生活の中の課題を解決しようとノートに向かう時。工作する時、等々。家が似合うと思います。痛い音派手な音皆無です。窓を閉めていてもカーテンを少し揺らす透明な風のような。まぎれもなく音楽なのだけど、音楽のアルバムじゃないような気も少しする。戦争に突入しそうなこれからの時代に必要な態度のような、心構えのような、そんなかんじのなにか。ちょっとしたよろこびだけでも生きられるようなささやかななにか。痛みや孤独を無言で応援するようななにか。ライブでは絶対にやらない類いの(そして再現しようとしてもできない)クスっとも笑えないけど頭だけニヤついてる脳内冗談のようなプライベートな音楽。ぼやぼやした音像。つかれない音像。ありきたりではないハーモニー。消費されていない感覚。かわいくてきれいでさりげなくて気高い音楽。純度高いです。ちょっと語りすぎました(笑)作者自身が一生聴けるような心地よさを重視しました。そういう素直な選曲ってなかなか難しいです。選曲だけで丸々一ヶ月はかけてましたが今日、完全に腑に落ちました。
お値段は2千円です。高いですか?でも、安売りできない内容です。そう設定しておかないと生活していけないというのもあります。音楽だけで暮らす自分をこれからも見せながら、やりたいことで生きる希望をやりたいことで生活できてない皆に与えていきたいです。今回も後払い(出世払い)容認します。沢山の人に聴いて欲しいです。本当に。楽曲の在り方、アルバムの在り方としても一石を投じたい。あなたの池に投じさせて欲しい。
今月5月末から手売りや通販開始できるように動いてます。ご予約は励みになるので、聴きたいと思ってくれた方はsuppasuppa@gmail.comまで連絡ください。なんせオリジナルインストポップアルバムは2007年以来だから7年ぶりですが、7年越しもうなずけるような嬉しい存在感のアルバムができたので、これはおめでたい出来事なのです。
スッパ