オノレ・シュブラックは間接照明がお好き

警察官の前を「あ〜やし〜いも〜ので〜はあ〜りま〜せんんん〜〜♪」って歌いながら自転車で通り過ぎたらすぐにつかまった・・という逸話が最高すぎる強者主催者によるインディーズヌードデッサン会。貴重な体験になりました。
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ヌードモデルの仕事は、1991年から月に1回か2回か3回というペースだが、始めて早23年選手。
なぜヌードモデルをすることになったのかといえば、
 一番やりたくないようなことを敢えてやらないことには殻を破れない
という肝試し選択肢の、当時トップツーに思えた「海外に引っ越しちゃう」「ヌードモデルをやる」の内の後者を選んでのことだった。私は服着てたって人前でジロジロ見られるなんて滅相もないというタイプだ。決して体に自信があるとか見せたい願望があるとかではなかった。そして、モデル仕事の為に意識して体を鍛えるとかダイエットするとか気を使ったこともない。
元々自分も在校し、デッサンしてきた学校で立候補したので、描き手としてのモデルさんへの要望や不満を反映させて誰もとらないようなユニークなポーズにチャレンジしていくことに野心を抱けたこともあって、ほとんど専属モデルのように今でも同じ学校で継続してモデルを続けさせてもらっている。
デッサンのモデルというのはかなり非人道的肉体労働である。人間じっとしていたら簡単に死に近づく。両手を下から90°以上あげたまま10分以上じっとしてみてくれ。堪えていたくないような苦痛が味わえる。つま先立ちで10分も、、もたないでしょ。一見辛そうに見えないポーズでもちょっとした体のひねりの角度次第では1分もたたない内にガクガクと痙攣してしまったり、汗がボタボタと尋常じゃなく溢れ落ちたり、など。体の仕組みを体験的に学ぶまでは沢山の危機をのりこえなければならない類いの仕事だ。なので先生は「楽なポーズでいいよ」と言ってくれる。それでも楽でマンネリでつまらないポーズをとるなら自分がやる意味がなくちょっと変でキツ目なポーズをとる。ポーズが10分単位の学校だったから務まってるといえる。
今日は、ヌードモデル仕事だったのだが、いつもとは勝手が違った。
同人による手探りのスーパーインディーズデッサン会だったからだ。主催者のアパートの部屋で5ヶ月の赤ちゃんをいれると5人が学生。(赤ちゃんはデッサンしないけど協力的に学生ママの背中で静かでいてくれた)
セツモードセミナー育ちの私からすると、間違いだらけなやり方だったが、皆が充実した様子だったのでホッとした。
普段は自由に自分でポーズをとるのだが、今回は皆で協議しながら求められる通りにがんばった。

このギヨーム・アボリネールによる「オノレ・シュブラックの失踪」というフランスの奇想短編小説を読むポーズの後には、その筋書きにそって、景色に擬態できる裸の間男がベッドで驚いてるポーズなどのリクエストにも堂々と対応。
女性陣に誉め殺されそうになると男性が「そうでもない」と否定してくれる絶妙に過ごし易い環境でのデッサン会。やるまでは正直に言うとビクビクしていたのだが、いい経験ができた。
みんながどうしようどうしようと手探りな初めての試みの現場というのはどうしたってフレッシュな体験になるからいい。面白いアイデアも沢山出た。インディーズデッサン会はこれからブームになってもいいんじゃないか?
 ということで、ひき続き、インディーズ自宅デッサン会に呼んでもらえたら極力がんばりますので、オーダーお待ちしております。